2024/5/28 大型・極太系オオクワガタ:人工蛹室の傾斜について

 極太系の幼虫は、往々にして蛹室の作成や羽化が下手な気がします。そこで前蛹や蛹の段階で人工蛹室に移すことが多くなります。

 人工蛹室をオアシス(吸水スポンジ)で作ったことのある人は多いと思います。私も初めて作った時には、本やネットで調べて作りました。だた、形状の情報はあったので、真似て作ったのですが、当初傾きについては余り情報がなかったような記憶があります。

 

手作り人工蛹室

※スプーンで大まかに掘って、指で整えた物です。当然ですが幅のある方が頭側で狭い方が尻尾側となります。

 当時、長さについても分かりませんでしたが、経験でこれくらいの幼虫サイズであれば、このくらいの長さというのが分かってきました。幅についても同様ですが、要は、蛹が、上手く回転できるようになっていれば良いと思っています。

意外と重要なのが、傾き(傾斜)です。

 私は、前蛹で人工蛹室に入れることが多いのですが、これは、蛹化時に不全になれば、羽化不全は確定だからです。従って蛹室を作り、蛹化するときの外的要因(蛹室の形状、菌糸の状態、蛹室を作る位置等)で蛹化不全しないように心掛ける必要があるためです。

 仮に前蛹で人工蛹室に移した場合でも、少しタイミングが早ければ、蛹室を壊さないまでも前蛹は蛹室内で動きます。この時に蛹室に傾斜が無い場合(水平や逆等)、本来お尻が来る形状側に頭を持ってきて、そのまま蛹になってしまうことがあります。つまり逆ですね。これによって頭が変形したり、そのまま気付かないと羽化時に不全となる事が多くなります。

所が、人工蛹室に傾きを付けて、頭側を上にしていると、不思議なことに幼虫は蛹になる時にちゃんと正常な位置(向き)で蛹になってくれます。

※人工蛹室で作る時に尻尾側を下がるように作るのが意外に難しいので、私は水平に作った蛹室を容器に入れる時に枕を入れて傾斜を付けています。容器ごと傾きを付けることもあります。

※写真を見ると意外と傾きを付けています。

ただ、小型の♂や♀は余り傾きに神経質にならなくても、上手く羽化してくれるような気がします。

 

ちなみに、タランドスは、彼ら自身で作る蛹室はいつもほぼ水平だと感じていますので、タランドスの人工蛹室は傾きに余り拘っていません。

※PET2300㏄容器内で前蛹(右:蛹化直後)状態のタランドスの♂。2頭共に、ほぼ水平な蛹室。